EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】


 休憩も終わり、駅にて帰りの電車に乗る。

空いている席に座った小鳥はオーレリアンに言われたことをグルグル考えていた。


(フェオさんが女の人に甘そうなのは何となくわかるけど、たらしって…)


想像できない。


(色んな女の子と遊んでるってことでしょ?フェオさん、そんな人には見えないんだけど…)


抱えている荷物をギュッと抱きしめる。

そして隣に座るオーレリアンをチラリと見た。


(フェオさんについて、オーレリアンさんが嘘つくわけないし…)


ハァと溜息をこぼして暗い闇しか映らない窓を眺める。

電車は徐々に速度を落とし、駅のホームに止まった。


「ここじゃないからな。まだ降りるなよ」

「はい…」

オーレリアンに注意されながら開いた電車のドアをぼんやり視界に入れていた、その時。


「……あっ!」


小鳥はホームを歩く金髪男性を発見した。

その綺麗に整った横顔は彼女が良く知る義兄弟の一人、フェオドール。


(こんなところで会うなんて、スゴイ偶然…あれ?)


見てしまった。

彼の腕に両手を絡めて一緒に歩いている女性の姿。


「っ――!!」


フェオドールが一人じゃないと知った瞬間、小鳥は弾けるように立ち上がり車内から飛び出した。

「あっ、おい!!」

オーレリアンが慌てて後を追う。

「待てよ!!どうしたんだ!?」

小鳥の手を強く引っ張れば、彼女はホームで立ち止まった。

視線は真っ直ぐフェオドールの背中を捉えている。

「あ……兄様…」

オーレリアンも気づいたようだ。

見知らぬ女性と兄が仲良く歩く後ろ姿を複雑な気分で見つめる。

小鳥達には気づかず歩き去るフェオドール。

止まっていた電車のドアは閉まり、小鳥とオーレリアンはホームに残された。





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