EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
自嘲する彼女をあやすように髪を撫でてやる。
撫でながらフェオドールは小鳥の笑顔を思い出した。
「あーあ。貴方みたいな男を好きになりたかったな」
「……すまない」
「馬鹿。なんで貴方が謝ってんのよ」
先に寂しいと誘ったのは彼女だった。
けれど、今ではフェオドールの方が寂しいと甘えてしまう。
恋人じゃないのに、なぜだか彼女に甘える時は安心できた。
心地好い安堵感に浸れた。
(この人に限ったことじゃない、な…)
相手は誰でも良かったのかもしれない。
色々な女性と関係を持って気づいた。
今は彼女に甘えているだけ。
(小鳥……)
残酷な程無邪気な小鳥の笑顔が、ふと頭の中を通り過ぎる。
(小鳥には、こんなふうに触れられない…)
小鳥の純粋さを壊してしまいそうで。
しかも、その尊い白を自分などが汚してしまって良いのかわからなくて、躊躇われる。
代わりに抱くのは目の前の女性。
今はまだ、小鳥は抱けない。