EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「偶然、なのか…?」
彼の独り言には、そうであって欲しいという願いがこめられていた。
チラチラと二人を気にしながら支払いを済ませる。
と、不意にオーレリアンと目が合った。
「あっ!兄様…」
今のオーレリアンの顔は悪戯がバレてしまった時とそっくりだ。
フェオドールはいつも通りを装って彼らに近づいた。
「こんなところで会うなんて…驚いた」
「兄様…これは…その…」
「あー!ふぇおさんだ~」
妙に明るい小鳥の声が響く。
「……?マドモアゼル…?」
フェオドールはキョトンとして小鳥の顔をしげしげと眺めた。
(……頬が…ほんのり赤いような…)
「ここのじゅーす、おいしいですねぇー。ふぇおさんもどうぞぉ」
「………もしかして、酔ってる…?」
小鳥の隣にいるオーレリアンが「あちゃー」と言うように額を押さえた。
「ふえ…?そんなことありましぇん」
「………酔ってるな」
首だけ動かし、フェオドールはカウンターにいるセルトを睨む。