EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「フェオさん…!?」
触れられたような気がして飛び起きる。
夢の中でフェオドールを見たせいか、今の小鳥は現実とそれをごっちゃにしているらしい。
自分の部屋をキョロキョロ見回してもフェオドールの姿はなかった。
(夢、か…)
妙にリアル過ぎて身体が熱い。
(そうだよね…。キスされるなんて……夢じゃなきゃ有り得ないよね)
唇に残っている感触が生々しいのは気のせいか。
自分しかいない室内でハァと悩ましげな吐息を零す。
すると、シーツに触れていた手が何かに当たった。
「え?」
驚いてその「何か」を拾い上げる。
「これ……お花?」
慌てて電気をつけて確認すると、それは一輪の青薔薇だった。
「フェオさん…!やっぱり、来たの…?」
青薔薇が一人でここまで歩いて来るはずがない。
誰かが持って来たのならば、この屋敷でそんなことをするのはフェオドールしかいないだろう。
「フェオさん…」
なんのために置いていったのだろうか。
やはり先程のキスは夢じゃないのか。
色々思いながら薔薇を嗅ぐ。
嗚呼、彼の香りだ――と、小鳥はまた泣きそうになった。