EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「誕生日おめでとー。ほいこれ、プレゼント」
居間にてカロンからプレゼントを渡されたフェオドールは軽く目を見張った。
すっかり忘れていた自分の誕生日。
「……今日、だったのか」
「マジで忘れてた?フェオらしいけど」
カロンがクスリと笑う。
もらったプレゼントに目を向け、フェオドールはちょっと沈黙した。
「……肩叩き券」
「凝ったら使えよ。ちなみに俺じゃなくてもいいから。この券には兄弟全員を強制的に肩叩きさせる力が…」
「俺からも、はい!ハッピーバースデー!フェオッ」
カロンの解説に割り込んでルカもプレゼントを差し出す。
「ありがとう」
にこやかに微笑み、それを受け取るフェオドール。
見ていた小鳥は今ならちゃんと渡せるかもしれないと、綺麗に仕上がったモンブランの乗った皿を持った。
「あ、あの!誕生日おめでとうございます!これ、作ったんです。良かったらどうぞ」
「………」
フェオドールは出されたモンブランを無表情で見下ろした。
そして――。
「……いらない」
「は!?フェオ!?」
「おいおい、どうしたよ。小動物の手作りだぜ?」
「兄様っ…!」
オーレリアンが兄の無表情と青ざめた小鳥の顔とを交互に見つめる。
「っ……すみませんっ」
モンブランを持ったまま、小鳥は小さな謝罪をして居間を飛び出した。