EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
6
†††
――……いらない
静かに投げつけられた一言が突き刺さる。
心がガラスでできているなら、小鳥のそれにはヒビが何本も入っており、かろうじて砕けずに形を保っている状態だ。
逃げ込んだキッチンのテーブルにプレゼントのモンブランをそっと置く。
「いらないって…何…?」
ルカのプレゼントを笑顔で受け取っていた。
カロンの冗談のような肩叩き券だって突き返していなかった。
「やっぱり、私……嫌われちゃったんだ…」
認めたら、涙が出るよりも先に心が限界を叫んだ。
小鳥の瞳が闇色に染まる。
――コンコン
「いるか?入るぞ…」
柔らかいノック音。
耳に響いた心配げな声は普段、苛立ちまじりで突っ掛かってくることの多い末っ子のものだった。
「お前…大丈――」
明後日の方向を見ている小鳥に話し掛けながら瞳を覗き込み、オーレリアンは愕然となる。
死にかけている虚ろな目が悲痛で。
直視することができずにオーレリアンは小鳥を夢中で抱きしめた。