EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
「ごめん…!僕が無責任なこと言ったから…。お前に希望を与えて突き落とすことになるなんて…」
安易に大丈夫だと元気づけておいて、こんな結果になってしまった。
オーレリアンに全責任があるわけではないが、こんな表情の小鳥を前に罪悪感は拭えない。
どうしてこうなったのか考えてみても、末っ子には決定的な原因がわからなかった。
(待てよあれか?酒場でこいつが、僕と一緒にいたいとか言ったから…)
嫉妬しているのだろうか。
(確かに睨まれたけど……兄様に限ってあの日からずっと嫉妬してるとか…ないよな)
嫉妬してフィアンセの手作りケーキを受け取らないなんて、まるでフェオドールが器の小さい男みたいではないか。
小鳥の背中をあやすように摩りながらオーレリアンはテーブルに置かれたモンブランを視界に入れた。
「あれは取っておこう?冷蔵庫に入れとくから」
いらないと言われたから捨ててしまいそうで、オーレリアンは小鳥から離れラップを持った。
しっかり包んで冷蔵庫に保存する。
「…部屋、戻るぞ。ここにいたって仕方ないだろ?」
「……」
聞いているのかいないのか、小鳥は何も反応を示さない。
オーレリアンは胸をキュッと締め付けられつつも小鳥の手を握ってキッチンから連れ出した。