EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
自分では動かない放心状態の小鳥を引っ張り、彼女の部屋の前まで来る。
オーレリアンがその扉を開けた時、丁度背後にある居間の扉からフェオドールが出て来た。
「っ、早く!」
廊下に気まずい空気が流れる前に素早く小鳥を自室の中へ押し込むオーレリアン。
末っ子も一緒に入って扉が閉まるところを、フェオドールは押し黙ったままジッと見つめていた。
一方、中に入った二人はというと。
「ハァ…疲れる」
なぜだか当事者ではないオーレリアンが深い溜息を吐いていた。
小鳥は相変わらず何も瞳に映していないようだ。
沈黙を守り扉の傍に突っ立っているので、オーレリアンは強引に柩へ座らせた。
「お前、しばらく兄様と会わない方がいい。その間に僕が兄様と話してみる」
面倒臭いであろう仲介役を買って出るオーレリアン。
普段、他人のゴタゴタに首を突っ込むなんて勘弁だと考える彼にしては珍しい選択だ。
「兄様が何考えてるかわかったら教えてやるから、それまで大人しく…ん?青薔薇…?」
ふと、テーブルに一輪の青薔薇を認めた。
萎みかけているそれをオーレリアンは手に取る。
「これ、兄様から貰ったの?」