EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
問えば、小鳥はゆっくりと顔を動かして青薔薇を真っ直ぐ見つめた。
「………わから…ない」
「は?」
「気づいたら……あって…」
「はあ?なんだよそれっ」
どう考えても薔薇を、しかも青い薔薇を持ってくる人物なんて、この屋敷にはフェオドールしかいない。
オーレリアンは手に持った青薔薇を握り潰したい衝動に駆られた。
「わっかんない!本当、なんなんだよ!兄様の考えてること意味不明すぎだし!」
自分の好きな青薔薇をわざわざ残していくなど、好意がなければ絶対にしない。
しかも薔薇の香りが小鳥に移って、さながらマーキングだ。
これは独占欲の表れではないのか。
「なんなの…。兄様、お前のこと絶対好きでしょ…。なのになんであんな態度なんだよ…」
小鳥に代わって悩むオーレリアン。
薔薇をテーブルに戻し、複雑な顔をしながら小鳥の隣に腰掛ける。
「お前さ、こんなわっかりにくい兄様でいいの?ちゃんと好きなわけ?」
好きか、と問われて小鳥はすんなり頷けなかった。
迷ってしまった。
「………」
沈黙したまま答えを出せずにいる小鳥。
すると、待つのをやめたオーレリアンが徐に口を開いた。
「やめときなよ」
緊張しているのか、彼の声はいつもより覇気がない。
「兄様なんて…やめて……僕を…………見てよ」