EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
フィアンセ兼ボディーガードとしてフェオドールが選ばれたあの時、オーレリアンは自身に問い掛けた。
どうして自分は選ばれなかったのか、と。
小鳥など兄に相応しくないと言いつつ、フェオドールに小鳥を奪われるかもしれない可能性に焦った。
ルカだけでなくフェオドールまでも出て来たら、自分に勝ち目はない。
ただでさえ、素直になれず嫌みばかり言ってしまう性分なのだから。
小鳥に、好かれるはずがない――。
「……お前が、欲しい」
ポツリとこぼれた声に、小鳥はゆるゆると目を見開いた。
「愛とか恋とかじゃなくて…お前の温もりが欲しい。羨ましいから……僕のものにしたいって思う」
けれど、その温もりは今の小鳥からゆっくりと抜け落ちていっているようで。
オーレリアンは悔しげに唇を噛んだ。
小鳥の肩を抱き寄せ、自分の腕に華奢なその身体を閉じ込める。
「小鳥っ、このまま兄様のために心を腐らせるくらいなら…僕を選べ!」
切なる呼び掛けを耳にして、小鳥の瞳に小さな光が戻った。
「オーレリ、アンさん…」
闇を浄化するように、ほろりと一粒涙が落ちる。
小鳥がそっとオーレリアンの背中に手を回そうとした、その時。