EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
手を引かれて小鳥はフェオドールの部屋に連れ込まれた。
彼の部屋の中に入るのはこれが初めてだ。
美しい薔薇が咲き誇る花園とは異なり、ここには花が一輪もない。
白魔の部屋と同じで本や楽譜、CDが床に散乱しているところからして、フェオドールは片付けが苦手なようだ。
「小鳥…」
部屋の奥にある銀色の柩の蓋を開け、そこに小鳥を押し倒す。
フェオドールは狂うような情熱を孕む瞳で組み敷いた少女を真っ直ぐ見下ろした。
怯えた彼女が青い瞳を見返してくる。
ふと、オーレリアンの問いに沈黙を貫いた小鳥の反応を思い出し、フェオドールは噛み付いてやりたい衝動に駆られた。
――お前さ、こんなわっかりにくい兄様でいいの?ちゃんと好きなわけ?
二人の様子が気になり、コンピュータ室の防犯カメラで見ていたら聞いてしまった会話。
あの時、彼女がすんなり頷いていたなら、今こんなにもフェオドールは焦っていない。
小鳥の沈黙に瞠目し、オーレリアンの「お前が欲しい」という言葉にコンピュータ室を飛び出していた。