EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】
まさか、オーレリアンに煽られるなんて。
あのモンブランは美味しそうだった。
「いらない」だなんて、馬鹿なことを――。
柩の上でむくりと起き上がった時、フェオドールはそんなことを考えていた。
目が、覚めた。
「っ…!?」
ハッとして隣にいる小鳥を見下ろす。
あれからかなり時間が経ったのか、彼女もすやすやと寝ていた。
ホッと安堵しつつ、罪悪感に襲われる。
「すまない……」
強引に血を吸って、彼女の初めてを奪って――。
今は落ち着いているが、またいつ自分が暴走するのかフェオドールは不安になった。
「マドモアゼル…いや、小鳥……」
幻滅されただろうか。
普段紳士な態度でも、所詮はこんな男だと。
「フェオさん…?」
ジッと寝顔を見つめていたら小鳥が目を覚ました。
「おはよう…」
怖がらせないよう、フェオドールは優しく囁き甘く微笑む。
「お…おはようございますっ」
恥ずかしげに挨拶を返した小鳥は、包まっていた毛布を口元まで引き上げ上目遣い。
「あの…今は、寝ぼけてませんか…?」
「え…?」
「い、いえ!何でもない…です」