EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
言い終えた時、ソファーに座っていたカロンが急に立ち上がった。
「ちょっといいか?」
カロンは静理が座る椅子の前まで来ると、怒りを抑えた低い声で命令した。
「静理、立って歯ぁ食いしばれ」
「っ……!」
何をされるのか察し、苦笑しつつ静理は立ち上がる。
「気が済むようにしてくれて構わないよ」
「んじゃ遠慮なくっ」
カロンが拳を振り上げた、次の瞬間ーー。
ドンッ!!!!
屋敷が揺れるような、物凄い音がした。
カロンに大人しく殴られた静理の体が吹っ飛び、壁に激突して倒れる。
壁がへこんだ。
「し、静理……?生きてる……?」
倒れたままピクリとも動かない静理にルカが恐る恐る呼び掛けるも、返事はない。
この有様を見てフェオドールはカロンを睨んだ。
「カロン、いくらなんでもやり過ぎだ」
「平気だろ。あんなんで静理の頭が潰れるわけねーし」
「ねえ、今のって何か意味あった?単細胞馬鹿って殴ればなんでも解決するとか思ってるわけ?」
オーレリアンの呆れた様子に白魔がクスリと笑う。