EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「今のはあれさ。落ち込んでる静理をカロンが殴って励ます感動的なシーンてやつ」
「ハッ、馬鹿馬鹿しい。冗談だろ?」
「半分ね。半分は真面目な答えだよ。感動的かはともかく、静理は自分を責めてるみたいだったし、カロンに殴られて少しはスッキリしたんじゃない?僕にとってはざまあみろって感じだね。どう?静理。僕も殴ってあげようか。もっとスッキリするかもよ」
「っ……ぁ……」
「えっ、マジで大丈夫!?声出てないけど!?」
ルカが慌てて静理に近寄った。
普段強くて怖い相手が弱っていると、それはそれで心配になるものだ。
「うわ、顔腫れてる。鼻折れてたりとかは……してない、か。うん、大丈夫そう。静理、起きられる?」
ルカの声に反応し、ゆっくりと起き上がる。
静理は頬の痛みに呻いた。
(……カロン、本当に容赦なく殴ってくれたね。すごく重いパンチだったな)
でも、それで良かった。
(できることなら、俺が、俺自身を、殴り飛ばしたかった……)
この程度、小鳥の受けた痛みには程遠い。