EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
残しておいたそれを温める。
料理中、特に違和感はなかった。
米が炊ける匂いや、出来上がった味噌汁の香りを、小鳥はいつも通り「美味しそう」と思えた。
しかし、いざそれらを食べてみると小鳥は突然吐き気に襲われた。
「うぅ……っ……気持ち、悪い」
料理の作り方がまずかったはずがない。
小鳥は涙目になった。
(どうして……?やっぱり、血じゃないとダメなの……?)
ふと、静理の言葉を思い出す。
ーー何かあったら、俺を呼んで
(静理さんに相談するべき、かな……?)
血を飲まなければダメなのか。
もう自分は普通の食事ができない体なのか。
血が必要なら、皆と一緒に食堂へ行くべきか。
(食堂で……)
初めてこの屋敷に来た日を思い出す。
あの、晩餐を。
(今度は、私も……っ)
信じたくなくて、目眩がする。
あの頃は自分が吸血鬼になるなんて少しも思わなかった。
「まずは……静理さんに、話そう」
今頼れるのは彼だけだ。
小鳥は静理の部屋へ向かった。