EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「それなら、また俺の血をあげるよ。こっちに座って」
そう言って黒いソファーを示され、小鳥は慌てて首を横に振った。
「そんな、静理さんの血ばっかりいただくわけには……!静理さんが貧血になっちゃいます!」
気遣って遠慮する小鳥に静理がクスッと笑う。
「その分、俺も他から血を補うから安心して。それに……これは俺の我儘なんだけど……」
静理は笑みを消し、真剣な眼差しで囁いた。
「俺以外の体から、吸わないで欲しい」
静理の赤い瞳が、嫉妬の色を宿す。
「君が、他の男から血を吸ってるところとか……見たくないし、考えたくもない」
彼女が自分以外の男の血を美味しいと褒めながら頬を染めて飲み下すシーンなんて、絶対に何があろうと看過できない。
醜い嫉妬でしかない静理の言葉の意味を、小鳥は真面目に考えてみた。
(静理さん以外の人から、血を吸う……?)
想像してみて、顔をしかめる。
牙を立てる相手が食糧としての全く知らない男性だったなら、と想像して小鳥は身震いした。
(嫌、かも……)
以前オーレリアンが「僕は見ず知らずの人間の肌になんか触れたくないんだ」と言っていた気持ちがちょっとわかったような気がする小鳥だった。