EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
小鳥がチュッと血を吸い出した時、突然静理のもう一方の手がスルリと小鳥の頬を撫でた。
「ふっ、ん……!」
ビクリと過剰に反応し、顔が熱くなる。
吸いながら変な声が出そうになった。
「……俺が怖い?」
小鳥の反応を怯えと受け取った静理が寂しげに囁く。
「怖がらないで。俺はもう二度と、君を傷つけない。そう、誓うよ」
自分の血を飲む小鳥を愛おしげに見つめながら、静理は胸中で自嘲した。
(小鳥ちゃんが闇人になればいいのにと、思ったこともあった。そうすれば、何の感情も邪魔することなく、素直に好きになれると思っていたから……)
けれど、それは違った。
言い訳にしていたのだ。
人間だから、愛せないと。
自分の臆病な心を隠すために。
(今なら、わかる。俺はずっと……逃げていたんだ)
自分の内側から溢れる「愛」という名の感情から。
それを持て余す自分が、ひどく滑稽で。