EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
それから三十分程経った頃、居間に白魔が戻ってきた。
手にはブラッディーボトルを三本抱えている。
白魔は説明しながらそれらをテーブルに並べていった。
「まずこれは、ねっとり甘めかな。こっちのは爽やかで酸味が強い。最後のこれはちょっと薄いけど、だからこそ君は飲みやすいかもしれないよ」
「味見してみなよ。えっと、グラスは……」
ルカが壁際にある小さなガラス棚に近寄る。
「はい、これ使って」
「ありがとうございます」
ルカから綺麗なグラスを受け取ると、小鳥は順番に味見をしていった。
(ん……甘い、のはちょっと違うかな。こっちは……少し静理さんに近い……?あ、でも薄い味のがキツくなくて一番飲みやすいかも……。白魔さんが言ってたこと、当たってる!)
「どう?気に入ったのある?」
三本全ての味見を終えてから、ルカが尋ねる。
「この……薄味のやつが、飲みやすいです」
「ならそれにしようか。静理がくたばってる時の代用品」
本人がいないのをいいことに白魔が笑みを浮かべながら嫌味っぽく言った、その直後。