EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「……だから、俺以外の血を飲もうとしてるのかい?」
静理は自分の一番近くにあったブラッディーボトルを手に取ると、それをひっくり返し中身を床にぶちまけた。
血液がびちゃびちゃと飛び散り、静理の足を汚す。
「し、静理さん……何、を……」
突然過ぎる予想もしなかった行動に、小鳥はもちろんルカ達も呆気に取られてしまった。
そんな周りの反応など気にせず、静理は微笑む。
「小鳥ちゃん。俺の言葉、覚えてるかな」
何の言葉か察し、小鳥は慌てて言った。
「静理さん以外の人を吸血するつもりはありません。でも、静理さん以外の血を飲むなとは言われてませんから!」
「そうか……そうだったね。なら今言おうか。小鳥ちゃん、俺以外の血を飲まないで」
「そんなの……無理ですっ。そんなことしたら、また静理さん倒れちゃいます。これ以上迷惑かけられません!」
「迷惑だなんて思っていないし、君からの迷惑ならいくらでも受け入れるよ」
爽やかな笑顔と甘い声で迫ってくる静理だが、小鳥は騙されなかった。
ここで丸め込まれてなるものか。
小鳥は飲みやすいと思った薄味のブラッディーボトルを守るようにサッと抱えた。
中身を捨てられては堪らない。