EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】


 さて、その頃の静理はというと。

学校が長期休暇のためしばらく授業がないとはいえ、静理は教員なので普通に出勤していた。

フェオドールやオーレリアン、白魔も教える側として教壇に立つことがあるが、彼らの場合、その才能ゆえに学校側から是非にと頼まれてのことだ。

つまるところ特別扱いなので一般教員の静理とは違い、休暇中に出勤はしない。

当然休み中の給料は出ないことになるがフェオドールと白魔は本業があるので全く問題なかった。

「ん……もう時間か」

そろそろ帰宅してもいい頃だ。

静理は読んでいた書類を整理しながら小鳥のことを考える。


(小鳥ちゃんは今、何をしているんだろう……)


帰ったら真っ先に彼女の部屋を訪れて様子を見なければ。


(カロンやルカあたりに誘われて、一緒に過ごしているかもしれない。……っ)


少し想像しただけでイラッとした。


(……面白くは、ないな)


さっさと帰ろう。

急いで支度をし、外に出る。

学校から屋敷までの短い距離を、静理はなぜかいつもよりも早足で進んだ。

そして、帰宅した静理が真っ直ぐ小鳥の部屋に向かうと、その扉には一枚の張り紙が。


ーー小動物は俺があずかった。byカロン


「…………」

カロンの下手な文字で書かれたそれを無言で引き剥がし、ぐしゃりと握り潰す。

静理は部屋の中に小鳥がいないことを確かめてから踵を返した。

次に向かうのはもちろん、カロンの部屋だ。


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