EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「おー、やっと来た。ほら入れよ」
いつもより乱暴に扉を叩けば、自室からカロンがひょっこり顔を出した。
「カロン、どういうつもりかな」
ニッコリと黒い笑みを浮かべる静理。
カロンの部屋に入るや否や、室内に小鳥が見当たらないことを確認し、部屋の主に視線を戻す。
「張り紙見ただろ?小動物は俺があずかる」
「いきなり意味がわからないよ。俺が納得できる説明をしてくれないかな。できないなら彼女を返せ」
笑みを消して鋭い眼差しをカロンに突き刺す静理は、心底からの怒りを隠そうともしない。
そんな短気な兄に、カロンは一つ溜息をこぼした。
それから堂々と嘘を語り出す。
「小動物さ、あんたに愛想つかしたって」
「なっ……」
「あんたに毎日追いかけられて迷惑してるらしいぜ。もう顔も見たくないからフィアンセに選んだことも無しにするってよ」
この作戦をカロンが提案した時、静理がカロンの言葉を信じずに鼻で笑った場合どうするんだ、とオーレリアンから指摘された。
そうなったら何も成果が得られない。
かなり賭けのようなところがあったのだが。