EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
ジッとカロンは目の前の静理を観察した。
(おっ。わりと動揺してる?)
何か心当たりがあるのか、静理の顔が緊張したように強張っている。
効果ゼロではなかったことに、ひとまずカロンはそっと安堵した。
「……それが本当だとして、どうして君が小鳥ちゃんをあずかるのかな?」
「そんなの、小動物が俺のこと好きだからに決まってんだろ」
更に静理を追い詰める発言を試みる。
カロンは静理の様子をうかがいつつニヤリと笑った。
「小動物は新しいフィアンセに俺を選んだんだ。あいつは、俺のだぜ」
小鳥は、カロンのもの。
聞いた瞬間、静理の表情から全てが抜け落ちた。
静理の中の、あらゆる感情の全てが。
「……そう……そう、か……」
口から漏れる声に力強さはない。
ただそれは、嵐の前の静けさだった。
「なら、俺は……」
静理が躊躇いを捨て去る。
「カロン、君を殺すしかない」
次の瞬間、静理はムチを片手にカロンへ襲い掛かっていた。