EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
静理の殺気に反応し、咄嗟に身構えたカロンだが時すでに遅し。
「ぐっ、ぁ」
上手く絡んだムチがカロンの首をギリギリと締めつける。
前もこんなことあったよな、と頭の片隅でボンヤリ思いつつ、カロンはなんとか殺されないように頑張った。
締めつけを和らげようと、巻きついたムチを手で引っ張りながら言葉を探す。
「しず、りっ……」
苦しげに歪むカロンの顔を、静理はただ冷たく見据えた。
そして眼前の光景を通り越して、静理の瞳があの日を映し出す。
動かなくなった小鳥を抱き締めて、みっともなく泣いた、あの日。
「……好きだと、気づいたんだ」
胸にストンと落ちてきた、複雑でありながら単純な感情。
「彼女を失った時、俺は初めて心から好きだと思える存在を見つけたんだ!」
苦しみの中、愛しさを知った。
「だからもう二度と奪わせない。邪魔者は排除する。誰であろうと、容赦はしない」
カロンの言葉が嘘であろうと、真実であろうと、障害になり得るのなら同じこと。
静理は更に力をこめてムチを引っ張った。
カロンが苦しげに笑う。
「ハッ、俺を殺したら……小動物に、嫌われるぞ?」
「構わないよ。俺は自分が彼女を愛せればそれでいい。それ以上は、望まない。俺なんかが……望むことは許されない」