EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
小鳥がゆっくりと静理に歩み寄る。
目の前まで近づくと、小鳥は彼の顔を見上げた。
反応を期待するようなその瞳が純粋すぎて、照れた静理はひねくれる。
「……ほっといてくれても、良かったんだよ?」
「静理さん、素直になって下さい」
「うん……ごめんね。君に無視されるのは嫌だ。だから……俺の、こと……」
静理が何か言いかけて沈黙する。
そして、真っ赤になった顔を手で隠し、情けなくも小鳥から視線をそらした。
「ごめん。本当に、ごめん……今、ちょっと心が、落ち着かなくて……上手い言葉が、見つからない」
「もしや、俺達がいるから、か……?」
ハッとしてフェオドールが呟く。
弟達に見られていたら話しづらいだろう、と今頃気がついた。
「メスブタ、静理と一緒に部屋行けよ。もうここにいることないだろ?」
「そうそう。後は二人でゆっくりイチャイチャしながら話し合えよ」
促され、コクンと頷く。
小鳥は静理の背中を優しく押して部屋から出ようと歩き出した。
「ふぅ、良かった。俺マジで死ぬかと思った」
「お疲れ、カロン」
「おう、そっちもな」
カロンとフェオドールの話し声を耳にして、小鳥が彼らに振り返る。
「あの、皆さん、ありがとうございました」
協力者に心からお礼を言うと、三人は嬉しそうな小鳥をそれぞれの思いで見つめながら微笑んだ。