EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】



 それから小鳥は静理の部屋で彼と二人きりになり、ソファーに並んで座ったのだが。

「ごめん小鳥ちゃん、こっちを見ないで」

相変わらず頬を赤く染めた静理が、俯きがちにフイとそっぽを向く。

「少し、待って欲しい。今どんな顔していいのか……わからなくて」

盛大に照れている様子だ。

こんな静理は非常に珍しい。


(どんな顔でも、私は気にしないのに……)


そう思ったが、小鳥は大人しく待つことにした。

彼が好きだから、待てと言われればいくらでも待てる。

そうして、しばしの沈黙の後、静理の溜息と小さな声が聞こえた。

「とても、嬉しくて……まだ、夢じゃないかと、疑いたくなるんだ」

ギシリとソファーが音を立て、静理の気配が近づく。

小鳥がチラリと彼を見れば、小鳥の方に体を向けた静理が至近距離にいた。

静理の男性的な手が小鳥の柔らかな手にそっと重なる。

「小鳥ちゃん、俺は……君の恋人に、なりたい」

真っ直ぐに小鳥を見つめる赤い瞳。

それは血の色でありながらも、小鳥には美しいルビーのように思えた。


(綺麗……。静理さんの、瞳……)


見惚れてしまう。

触れ合った手と手が、熱い。

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