EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「うん。……俺は、子供の頃にいた場所が場所だから、女性からの愛とか恋とか、あまり素直に信じられなくてね」
話しながら静理が思い出すのは自分の母親だ。
男の客相手に偽りの愛を囁いては、女だけの部屋や静理の前では馬鹿にしたような悪口をよく言っていた。
そのせいで、女の裏の顔は醜いと幼い頃から悟っていた静理は今まで素直に恋愛できなかったのだが。
「私のことは、信じてくれたんですか……?」
恐る恐る尋ねると、静理は困ったように苦笑する。
「正直、よくわからない。俺が君を好きになってしまったからね。裏があってもいいと思ってしまう程、今の俺は舞い上がってる。どうしようもないんだよ」
「できれば、信じて欲しいです」
「うん。もちろん努力するよ」
取り敢えず、自分が初めての恋人だという事実に小鳥は内心で喜んだ。
(あれ……?でも、それにしては、あの時……)
ふと小鳥が思い出したのは、静理が子供になってしまった時のこと。
ーー女はこうすれば黙る
そう言って小鳥の唇を奪った彼は、子供ながらやけにキスが上手かったような。