EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】

「ルカくん」

「うわ!?小鳥!?あ、待って!小鳥はまだ入っちゃダメ!俺達が後で呼びに行くから」

ルカが慌てて扉を閉めようとしたその時。

中から静理の声が聞こえた。

「ルカ、ついでに白魔を起こしてきてくれないかな。手伝わせるから」

「えー、絶対不機嫌じゃん。静理行ってきてよ」

「俺だって行きたくないよ」

そんな会話をしつつ、静理がルカの背後からひょっこりと顔を出す。

「そういう訳でパーティーの準備中だから、もうしばらく部屋で待っていて、小鳥ちゃん。最低でも十時くらいには声をかけるから」

「わかりました」

笑顔で頷き、自室に戻る。


(私の、歓迎パーティーか……)


まさか闇人になることでこんなふうにパーティーを企画されるだなんて、小鳥は全く想像もしなかった。


(お祝い、なんだよね?私が、闇人になった……)


小鳥の今の気持ちは、正直なところ複雑だ。


(人間じゃなくなった自分を、怖いと思う時もある……。けど、なんでだろう……。前ほど、嫌じゃない……)


祝われることが、苦痛ではない。

それは、死を通過して新たな自分になったことを小鳥自身が知らず知らず受け入れている証拠だ。

前向きになった理由として、静理と気持ちが通じ合ったことも、きっと大きい。

「パーティー、楽しもう」

せっかく皆が頑張って準備してくれているのだ。

小鳥はわくわくしながらそっと笑った。



< 162 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop