EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
それから、十時五分前に静理が迎えに来てくれた。
案内されたのはもちろん、居間で。
そこの扉にはもう小鳥限定立ち入り禁止の紙はなく、静理が開けてくれた扉の先はフェオドールが育てた薔薇で飾られた華やかで美しいパーティー会場となっていた。
「君のための特別なパーティーへようこそ、僕のプリマドンナ」
待っていた白魔が小鳥の手を取り、指先にチュッと口づける。
違和感のない自然な動作で小鳥に一番に接触してきた白魔は流石と言うべきか。
静理からしたら白魔のこういうところが気に食わない。
チラリと小鳥を見ると、キスされたせいか頬を染めている。
当然静理はイラッとした。
「小鳥ちゃん、ちょっとごめんね」
「え、あ……」
白魔から小鳥を引き離し、キスされた指を持っていたハンカチで拭う。
「うわ……静理、あからさま過ぎ」
「余裕の無さがスゲー伝わってくるよな」
ルカとカロンのヒソヒソ話は無視し、静理は拭き終わったハンカチをゴミ箱にポイすると、黒い笑顔で白魔に向き直った。
「白魔、気安く触らないでくれるかな」
「ふふ、聞こえないね。君の声なんて」
「そうかい。なら次に似たようなことがあったら、その細い首にムチが巻き付いているかもしれないね」
「ふーん……僕のプリマドンナがどうしても触られたくないと望むなら考えるけど……君は優しいから、そんな寂しいこと言わないよね?」
白魔がニコニコと小鳥を見つめる。