EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「あ、ありがとうございます!いただけるなんて、全然思ってもいなくて……ど、どうしようっ、何かお礼を……!」
「お礼なんていらないよ。これはつまり、君のバースデーパーティーみたいなものなんだからさ。誕生日を祝ってもらう人がいちいちお返しなんてしないでしょ?」
サプライズのような贈り物が嬉しくて小鳥が落ち着かなげに瞬きを繰り返す。
するとルカから突拍子もない発想が飛んできた。
「そんな小さい箱……ハッ!まさか指輪とか!?」
「ルカって想像力たくましいよなー」
「ド直球馬鹿って言うんじゃない?」
カロンの呆れたような棒読みにオーレリアンの悪口が加わり、最終的に白魔が笑う。
「ハハッ、そんなもの贈った日には誰かさんと殺し合いが始まるね」
小鳥は貰った美しい小箱をよくよく眺めた。
卵型のそれは白地に金色の縁取りがなされ、細かな花の模様が幾つも彫られている。
(小物入れかな?)
パカリと蓋を開けてみると、中には金色の小さな鍵が入っていた。
「これは……?」
「ああ、使い方を教えるよ。その鍵……いや、厳密には鍵じゃないか。とにかくそれを、この箱の底にある穴に入れて、回してごらん」
言われた通り、底の丸い穴に鍵をはめ込み、カチリカチリと回していく。
(もしかしてこれって……)
小鳥が気づいた時、小箱は鳴り出した。美しく悲しい、けれど優しいメロディーで。