EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「あと、おまけでこれ」
まだあるらしく、カロンはポケットから名刺ほどの大きさの紙を取り出した。
それは束になっており、一枚一枚に手書きでこう書かれている。
「吸血無料券……?」
「そ。俺限定吸血無料券。これを俺に一枚見せれば、あんたが俺を一回吸血してオーケー。二十枚あるから、いつでも来いよ」
冗談なのか本気なのか、相手がカロンなので判別が難しい。
小鳥は苦笑するしかなかった。
「小鳥ちゃん、ごめんね。それ貰うよ」
もちろんそんなものを見過ごせるはずもない静理は、小鳥の手にあったカロンの手作り券をぐしゃりと丸めてポイとゴミ箱に投げ入れる。
その動作に迷いはなかった。
「あっ!!ヒデー静理。この俺が、寝ずに作ったのに」
「そんなもの寝ずに作る暇があるなら漢字の練習でもしなさい。また歴史のテストの時に漢字ミスで減点されたいかい?」
「オーゥ……オレハ、フランスジンノ、ヤミビト」
「それだけ日本語を流暢に喋っておいて今更なに言ってるのかな?」
ムチで叩かれそうな予感を察知し、それ以上はお口にチャック。
カロンが黙ったところで、続いてルカが小鳥にラッピングされた包みを手渡した。
「じゃあ、次は俺ね。はいこれ」
「ありがとうございます、ルカくん」
「そんな高価なものじゃないんだけど、闇人になったら必要かなって思って……」
「開けてみてもいいですか?」
「どうぞどうぞ!」