EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
ペンケースでも入っていそうな大きさの包みをガサリと開ける。
すると中には、透明なビニールに包まれた黄色い物体が。
一瞬バナナかと思った小鳥だったが、良く見れば食べ物ではない。
形も色もバナナに似ているが素材がぶにぶにしていて柔らかなゴムのようだ。
「ルカくん、これは……?」
「噛み噛みくん、て言う……なんだろ……あっ、便利グッズ!」
「便利グッズ……?どう使えばいいんですか?」
「簡単だよ。牙がウズウズして、なんか噛みたくなった時にこれを噛み噛みする。そうするとなぜか妙に落ち着くんだよなぁ」
「あ、知ってるそれ。最近流行ってるよな。教室で噛んでる奴見た」
カロンがお口チャックの封印を解いた。
どうやらこのバナナ似のぶにぶには口に咥えて噛みつくものらしい。
「牙って……疼くんだ……」
小鳥はまだ経験したことがなかった。
そんな彼女がポツリとこぼした独り言をオーレリアンが拾う。
「牙の疼きは個人差があるけど、噛みついて吸ってない奴ほど疼きやすいから、お前も気をつけた方が良いんじゃない?」
「オーレリアンさんも疼いたりしますか?」
「するよ。けどそんなもの噛んでない。酷い時とかはすぐ薬打つから、それで抑えてる」