EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
ジェラルドが小鳥を真っ直ぐ見上げる。
「小鳥ちゃん。本当に申し訳なかったと思っているよ。だから私を、煮るなり焼くなり殴るなり首をちょん切るなり、好きにしてくれたまえ」
「そんな……!できませんから!」
思わず椅子から立ち上がりかけた小鳥。
しかし静理が落ち着かせるように彼女の肩にそっと手を置いた。
「静理さん……?」
見上げれば、彼は柔らかく微笑んだ。
それから表情を消してジェラルドに向き直る。
「ジェラルド、反省していますか?」
「勿論だとも」
「なら今はそれで十分です。これ以上責めたところで、過去を変えられるわけでもありませんから」
「あれ、一発殴るんじゃなかったの?」
白魔が意地悪げな笑顔で尋ねるも、静理は冷静に答えた。
「……そのつもりだったけれど、やめておくよ。本当は俺のせいだって、わかってるから」
そう言ったきり、ジェラルドから視線をそらして沈黙してしまう。
数秒、気まずい空気になったが、それもカロンの発言ですぐに元通り。
「じゃあ、罰として親父はそこでパシリ役な。ほい、俺のグラスにおかわりちょーだい」
「あ、父さん!カロンにはちょっとで良いよ。せっかくだから小鳥に飲んで欲しいし」
「君達……私を招待しておいて私のグラスはないのかな?」
「別に父上のための歓迎パーティーじゃないから」
「白魔っ!その通りだけれどグサッとくるよ、心に!」