EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「特別……?そう、だね。特別、なのかもしれない。でも、凄く高かったとか、誰かに貰ったとかではないんだよ。その辺の店で自分で買ったものだから。ただ……」
ピアスにそっと手をやり、静理は照れ臭げに視線をそらす。
「これを初めて見つけた時、自分の目の色と似ている気がしたんだ。そのせいか、このピアスがもう一人の俺みたいに思えてしまって……気づいたら買っていた。その頃は丁度、今の屋敷で猛勉強中の時期だったから、変わるために何かしたかったというのもあるかな……。その時に初めてピアスホールを開けたんだよ」
今までの自分とは違うものになりたかったのかもしれない。
ピアス一つの小さな変化でも、当時の静理には十分だった。
(静理さんの、特別がこもった、ピアス……)
彼の瞳と同じ赤をジッと見つめて、小鳥は思う。
(どんなアクセサリーよりも……)
“それ”が欲しい、と。
「静理さん、一つ、わがまま言っても、良いですか?」
「なんだい?」
「そ、その……静理さんの、ピアス……片方、いただけないでしょうか……?」