EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
それから会計を済ませ、店の外へ。
荷物も多いし疲れたので、二人は近くの広場の休憩所でベンチに腰掛けた。
広場の中央では小さな子供が数人、キャーキャー言いながら走り回って遊んでいる。
何となくその光景を眺めつつ、闇人でも人間でも子供が楽しそうに遊ぶのは一緒だなと小鳥が思っていると。
「子供、か……」
静理がポツリと呟いた。
そして、暗い声で尋ねる。
「小鳥ちゃんは……子供、好きかい?」
「え……」
落ち込んだような静理の声に驚き、小鳥は思わず隣に座る彼の方を向いた。
「ごめん……俺とじゃ君は……」
「静理さん……?」
俯き、何やら考え込む静理。
少しの間、沈黙が続いた。
やがて泣きそうな表情で、彼は言う。
「君といられて、今がとても幸せなんだ。けれど俺は……君に子供をあげられない」
闇人同士では、子供は誕生しない。
いくら愛し合っても、家族を増やせない。
「わかってます。私はそれならそれで、構いません」
小鳥は優しく笑った。
「私は子供ができないからって、静理さんから離れたりしませんよ」
そっと静理の手に手を重ねれば、指を絡められ、引き寄せられる。
そのまま強く抱き締められ、小鳥も彼の背中に腕を回した。
静理が、泣いているような気がして。