EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
それから、出荷準備はすぐに終わった。
静理にエレベーター前で待っているよう言われた小鳥が、地下へと続くそれの前で大人しく待つこと約十分。
目隠しをされた少年少女がグッタリとした状態で台車に乗せられ運ばれてきた。
「し、静理さん……この子達は…」
「出荷する人間だよ。眠らせているから、今の内にお客様へ届けるんだ」
台車ごとエレベーターに乗り込み下へ。
屋敷の外に出ると静理は手早く台車から子供達を降ろし、彼らを出荷用の車に詰め込んだ。
その車はトラックのような見た目で、地上にある自動車とそっくりだ。
静理は助手席の扉を開けると小鳥へ向き直った。
「さあ、小鳥ちゃん。乗って」
「あ、はい……」
促されるままに乗り込むと、隣の運転席に静理がおさまった。
「この車、初めて見ました。静理さんのなんですか?」
「うん。仕事用のだよ」
話しながらエンジンをかける。
どうやら黒ヒョウに車を引かせるわけではないようだ。
「……静理さんが…運転するんですか?」
問えば、静理が軽く目を見開いた。
当たり前のことを聞かれてビックリしたらしい。
「そうだよ。……ああ、もしかして、こっちではまだ黒ヒョウにしか乗ったことなかったのかな?」