EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
玄関のすぐ横には表札があり、堂々とした文字で「KURURUGI」と表記されている。
(くるるぎ…?どこかで聞いたような…)
記憶を探っていた小鳥の前でガチャリと扉が開いた。
「お待たせしました……って、あれ?静理さんに小鳥?君達がお客さん?」
「み、ミッつん!?」
見知った顔の不意打ちの登場に小鳥が口をあんぐり開ける。
「蜜莉、案内を頼むよ」
「いいよ。こっち」
静理にとっては想定内のことだったのか、何の疑問も持たずに慣れた様子で台車を押し始めた。
「あの、どうしてミッつんがここに…?」
広々とした玄関ホールの奥へと進みながら二人に尋ねる小鳥。
すると蜜莉が笑顔で答えてくれた。
「ああ、ここね、僕のおじさんの家なんだ。表札に枢戯(くるるぎ)って書いてあったでしょ?」
「くるるぎ」が蜜莉の名字だと思い出し、小鳥はポンと手を打って納得する。
「じゃあ、ミッつんは遊びに来てたの?」
「ううん。一応、仕事でね」
仕事と聞いた瞬間、静理の目付きが鋭くなった。
「仕事?まさか蜜莉、あっちの仕事ではないよね?」
「まさか!違うよ。今度のステージで着る衣装デザインの打ち合わせ。おじさんはファッションデザイナーでもあるからね」