EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「いらっしゃい。待っていたよ、静理」
薄暗い客間に、低い穏やかな声が響く。
「蜜莉、ご苦労だったね。ありがとう」
「ふふ、わざわざお礼言うなんて、おじさんの柄じゃないでしょ。じゃあ僕は帰るから。衣装の件、よろしくね」
バイバイと小鳥に小さく手を振ってから、蜜莉が退室。
部屋は一瞬、静寂に包まれた。
「……さて、静理。久しぶりだね」
銀に近い金髪が薄闇に揺れる。
腰まである長髪は緩やかに波打ち、彼の雰囲気を中性的に見せた。
(ミッつんの親戚なだけあって、美人さんだぁ…!)
顔立ちは穏やかでありながらキリリとしていて、どことなく蜜莉の姉、野薔薇を思い出させる。
「元気にしていたかな?我が息子よ」
(え?息子?)
いきなり引っ掛かる単語が耳に飛び込んできた。
小鳥が二人の顔を交互に見つめる。
「………はい。理王様も、お元気そうで安心しました。こちらが今回の商品です」
息子呼びを気にもせず、静理は顔に笑みを貼り付けた。
笑顔で台車に乗せてきた子供達を示す。