EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】

滑らかに車が走り出す。

小鳥はふと、気になったことを静理に尋ねたくなった。

「静理さん、聞いても良いですか?」

「何かな?」

「理王さんは静理さんのことを、その……息子と、言ってましたけど……なぜですか?」

「そうだね……。なぜなんだろうね。単に家族ごっこをしたいだけなのか、迷惑な感情の押し付けなのか……まあ、どちらかだね」

静理の言葉の意味がよくわからない。

助手席で小さく首を傾げる小鳥を横目に確認し、静理は苦笑した。

「それより、どうかな。小鳥ちゃんから見て、この場所はどう?」

「えっと…」

言葉に詰まる。

ここは静理が生まれ育った場所らしい。

お世辞にも良いところですね、とは言えなくて小鳥は素直な感想を口にした。

「ヒドイ、と…思います。……感じの良い場所ではないです」

「フフッ、だろう?俺はここで生まれてここで育った。ここしか知らなかったんだ。……それが、俺が歴史を学ぼうとした理由だよ」

「え?」

「わからないかな?人間であれ、闇人であれ、閉ざされたこの場所の外で生きる生命の様々な一生というものを知りたくなったんだ」

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