EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「俺は、俺が生きている意味に価値を見出だせないんだ。生き甲斐も楽しみもない。心が腐ってるのかもね。日常が、全て……くだらない」
ハンドルを切りながら、静理の赤い瞳が陰る。
暗くなる静理の横顔を見てしまった小鳥は、何か前向きな話題はないかと考えた。
(生きてて、楽しいこと……。そういえば静理さんて、趣味とかないのかな?)
「静理さんは趣味とかないんですか?」
「趣味?」
斜め上からの質問だったのか、キョトンとする静理。
そんな状態でも運転中なので小鳥の方を見ることはなかった。
「はい。何か、好きなこと。あればそれが生き甲斐になったりするかもしれないです」
「うーん……趣味、か…」
少し考えてから、静理は大真面目に答える。
「人間を虐げ、支配すること」
「そ、それは、趣味というより嫌悪とか憎悪とか、そういう…?」
「ダメかい?」
ダメに決まっている。
そんな趣味があってたまるか、と小鳥はチラッと思ったが、すぐに考えを改めた。