EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
3
†††
静理の好きそうなものは何だろう。
あの日から小鳥は色々と考えてみたけれど、いくら静理を観察しても趣味に繋がりそうなものが全く思い浮かばない。
ここ最近の静理観察でわかったことと言えば、彼が本当に淡々と生きている、ということくらいだ。
(好きなことをしてる時間っていうのが、静理さんには見当たらない気がする…)
食器洗いをしつつ静理のことを思い返しながらハァと溜息。
それから少しして、食器を片付け終わった小鳥がキッチンから廊下へ出た時だった。
「白魔さん…?」
フラフラとこちらに向かって廊下を歩いてくる白魔の姿が視界に入った。
白魔は小鳥に気がつくと、吸い寄せられるように彼女へ近づき、のし掛かるように抱きついた。
「きゃ…!?は、白魔さん!?」
「あぁ……疲れた。癒してよ、僕のプリマドンナ」
「大丈夫ですか?もしかして、出掛けてました?」
白魔の服が余所行き用だ。
気づいた小鳥に白魔は笑んだ。
「リサイタルがあってね。今帰って来たところさ」