EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
そう言うと白魔は上着のポケットから、ファンからもらったであろうその香水を取り出した。
「私も、つけるんですか…?」
「ダメ?」
「私は…その……香水なんて似合わないですし…」
香水をつける程大人ではない自覚があるので、小鳥はかなり躊躇った。
それにだ。
「それに白魔さんがもらったものなら、その香水、男性用じゃ…」
「そうだよ。だから、僕の香りに染まりなよ」
目の前の白魔が急に色気全開で迫ってきた。
垂れ流される悪い大人の誘惑に小鳥は固まるしかない。
吸血されるわけでもないのに、小鳥が身の危険を感じた時だった。
「白魔、何をやってるんだい?」
少し離れたところから静理の声がした。
今の小鳥にとっては間違いなく救世主だ。
「静理さん!」
「あーあ。面白くないのが来たね。疲れてるんだから、静理の相手なんてしたくないよ」
近づいてくる静理を横目に、白魔が気怠げな吐息を零す。
「じゃあね、僕のプリマドンナ。今度、君に相応しい香りをプレゼントするよ」
静理をからかう気力もなかったのか、白魔は小鳥に甘い言葉を残すとその場からすんなり立ち去ってしまった。