EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
静理に促され居間の扉の前までやって来る。
静理の言葉は、何一つ間違ってはいなかった。
これから小鳥は図書室に行くつもりだったのだ。
白魔に「ありがとう」も言えないまま、扉に手を掛けようとしたその時。
ーーヒュン
何かが小鳥の横を飛び、居間の扉に勢い良く突き刺さった。
白魔のナイフだ。
振り向けば、物凄く不機嫌そうな顔をした白魔が次のナイフを構えている。
「静理、君さ、何様なわけ?僕の邪魔をするつもりなら今すぐ小鳥の心臓にこのナイフを突き立てて、彼女を僕だけのものにするよ」
(白魔さん…!?)
それは嫌だと内心ビクビクする小鳥。
だが白魔の脅しにも静理は怯まない。
彼は短く、こう答えた。
「やってごらん。殺すよ」
白魔が僅かに目を見開く。
こちらを見据えるのは、冷めた赤い瞳。
静理なら絶対に呆れた態度をとると思っていたのだが、白魔の予想は外れた。
そのまま小鳥を連れてさっさと出ていく静理を眺めながら、白魔はボソリと呟く。
「へぇ……あの人間嫌いがね」