EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】


 さて、居間から出た二人は勉強道具の準備をしてから真っ直ぐ図書室にやって来た。

そして、普段ほとんど図書室を利用しない人物が椅子に座っているのを見つけて驚いた。

「よー。待ってたぜ」

「カロンさん!?」

そこにいたのは大きなウサギのぬいぐるみを膝に乗せてギュッと抱き締めているカロンだった。

「どうして、カロンさんがここに…?」

「俺だけじゃないぞー。ピョン太郎寝不足二世もいる」

カロンが膝の上を陣取るウサギぬいぐるみを小鳥にズイと差し出す。

ウサギの目は眠たそうにふにゃりとしていた。

「可愛いウサギさんですね」

「だろ?アルトからパクった」

ぬいぐるみを受け取った小鳥が、カロンと同じようにそれをギュッと抱き締める。


(もふもふだぁ!気持ちいいっ)


「カロン。ぬいぐるみ自慢がしたいだけなら出て行ってくれないかな?邪魔だよ」

「は?静理は真面目に勉強しようとしてる学生を追い出すのかよ」

「真面目?どの口が言うのかな?」

カロンとの会話は面倒だ。

溜息をついてから静理は笑顔で小鳥に言った。

「小鳥ちゃん、カロンのことは無視して始めようか」

そしてカロンから離れた席にさっさと座る。

小鳥もカロンにピョン太郎寝不足二世を返して静理の向かい側に腰掛けた。

「仲間外れ反対」

そんなことを言いながら、ぬいぐるみを抱えて小鳥の隣へと移動するカロン。

それから彼は出し抜けに問い掛けた。

「なあ、静理はさ、恋とかしたことあんの?」

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