EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】

「有名なんですか?」

「まあ、そこそこ儲かってるんじゃないかな。テレビのCMとかでも見掛けるね」

「俺あいつの服、わりと好き。たまに意味わかんねぇデザインもあるけど」

話が脱線しつつある。

それに気づいた静理がわざとらしくコホンと咳払いをした。

「とにかく、彼がどれだけ有名だろうと行く必要はないから。こんなお誘い、見なかったことにしてしまえば良いよ」

理王本人の前でもそうだったが、静理は彼に気を許していないようだ。

ふと、小鳥は思ったことを尋ねた。

「静理さんは……理王さんのこと、嫌いなんですか?」

「そうだね。好きか嫌いかの二択なら、嫌いを選ぶかな」

「静理さんがそこまで嫌うって…あの人、悪い人、なんですか…?」

「悪い人……」

静理は少し考える素振りを見せてからこう言った。

「悪い人と言えば悪い人だけれど……小鳥ちゃんの基準だとたぶん俺も“悪い人”に分類されてしまう気がする」

「そんな…!静理さんは悪い人なんかじゃありませんっ」

勢い良く否定する。

そんな小鳥をキョトンとした顔で見つめてから、静理は苦笑した。

「そう…かな……ありがとう」

「おーい、小動物。騙されんなよ。静理がムチ振ってるとこ思い出せ」

「カロン、そろそろ本当に出ていってくれないかな。邪魔で仕方ない」

「え~、ヤーダ」

その後ようやく静理の授業が始まったものの、いちいちカロンの余計なお喋りが割り込み大変だったのは言うまでもない。



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