EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
手紙をもらってからというもの、小鳥は理王からの誘いについて考えることが多くなった。
手紙なんて見なかったことにしろと静理には言われたが、行くなと反対されれば行きたくなるものだ。
理王のことなど全く興味はないが、静理に繋がるのならば少し話してみたい。
時間が経つに連れて理王に対する恐怖よりも好奇心の方がむくむくと大きくなる。
(理王さんは静理さんに親しげだったよね……息子って呼んでたくらいだし)
静理にバレたら確実に怒られるだろう。
それでも小鳥は思いきって出掛ける方向で計画を立てることに決めた。
(なんか私、最近静理さんのことばっかり考えてる…?)
ふと気づいてドキリとする。
なぜか静理のことばかり気になって仕方ない。
(私は、静理さんのこと…)
好き、なのか。
けれど好きだから、なんだというのか。
(わかってる。静理さんは、人間が嫌い)
自分が恋心を向けたところで彼には迷惑なだけだろう。
でも、それでも馬鹿みたいに諦めがつかないのは静理自身のせいだ。
ーー嫌いじゃないよ…
以前彼は小鳥に向かってそう囁いた。
自分の過去を淡々と語り人間を憎みながらも、小鳥のことは嫌いじゃないと。
そんなことを言われたら、ハッキリと拒絶されるギリギリまでその言葉に甘えたくなってしまう。
(静理さん……ごめんなさい)
自分はきっと狡い人間だ。
そう自覚しながらも、許されるところまで近づきたいと小鳥は願った。