EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
自分で望んだことだ。
一回の吸血くらい耐えてみせる。
小鳥は緊張しながらもカロンに首筋を曝け出した。
「ど、どうぞっ」
無防備に肌を差し出す小動物を前にカロンがニヤリと笑う。
彼は小鳥を抱き寄せた。
(ち、近い…!)
カロンの唇が近づいてくる。
小鳥の首筋を舌が這い、カロンの吐息が零れた。
もうすぐ、穿たれてしまう。
肌を掠める牙を意識して小鳥がギュッと目をつぶった瞬間。
ーーヒュンッ
何かが飛んできてカロンの首に巻きついた。
「ぐぁっ!?」
ムチだ。
そんなものを常時身につけている人物なんて彼しか思い浮かばない。
小鳥は視界で確認するよりも先に彼の名前を呼んだ。
「静理さん!?」
途端、カロンの首がグイと引っ張られる。
そのままカロンの体は小鳥から離れ、左側の壁に勢い良く叩きつけられた。
ドンッ!と物凄い音が廊下に響く。
呆気にとられて見つめる小鳥。
目の前からカロンがいなくなったことにより視界が開け、ムチを握って佇む静理の姿がハッキリ見えた。
「大丈夫だったかい?小鳥ちゃん」
小鳥と目が合い、にこやかに微笑む静理。
小鳥は慌ててコクコクと首を縦に動かした。