EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「ゲホッ!っ…首は、ないだろ……あんた、マジえげつねぇな」
壁に打たれて倒れ込んでいたカロンが起き上がる。
ムチが緩み、カロンはそれを手で外した。
「カロン、何か言ったかな?」
「あんた性格悪いなって」
「君ほどではないよ」
喋りながらムチを仕舞う。
それから静理は小鳥に近づき手を取った。
「おいで、小鳥ちゃん」
「あ…」
拒否は聞かないとばかりに引っ張られ、カロンから遠ざかる。
約束の血はまた今度差し出さなくては。
小鳥が名残惜しそうにカロンを見る。
そんな彼女の表情を静理は見逃さなかったが、黙って先を急いだ。
(静理さん、どこへ行くんだろう…?)
疑問に思いつつ廊下を歩く。
連れて行かれたのは静理の部屋だった。
中に入って扉を閉め、静理が小鳥に向き直る。
「さっき、カロンに血を吸われそうだったよね。あまり抵抗していないように見えたんだけど……俺の気のせいかな?」
鋭くてドキリとする。
理由は絶対内緒にしたいので小鳥は焦った。
「き、気のせい、ですよ」
「そう……気のせい、か」
納得してくれたのかと、小鳥は少し期待したが甘かった。
次の瞬間、静理の両手が伸ばされ、気づけば小鳥は部屋の壁に背中を押しつけられていた。
静理の両手が小鳥の頭を挟み込む。
唇をつり上げて笑みを浮かべる静理が、赤い瞳に怒りを滲ませながら囁いた。
「なら吸血じゃなかったのかな?例えば……キスとか」
「違いますっ!!そんなんじゃ…!」
「違うならやっぱり吸われそうだったんだね。抵抗していなかったのは、何か理由があるのかな?脅されたかい?」