EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「大丈夫ですっ。本当に、何でもないので…」
「嘘をつくのかな?」
「嘘なんかじゃ…」
明らかに何か隠していそうなのに小鳥は頑として答えない。
白状する気がないと見て静理は軽い溜息をついた。
「参ったな。平行線だね」
そして一つの考えに行きつく。
「もしかして君は……カロンのことが好きになったのかな?だから抵抗していなかった」
「えっ…」
まさかの誤解に小鳥は目を丸くした。
「それなら悪かったね。今度から君とカロンの邪魔はしないようにするよ」
どことなく冷たい口調で囁き、小鳥から離れる。
誤解されたままは嫌なので小鳥は焦って口を開いた。
「あのっ、違うんです…!カロンさんのことは、別にっ」
「何が違うのかな。他に適当な理由が俺には思い付かないよ」
静理を納得させる理由が必要なことはわかっている。
けれどそれが「カロンに対する恋愛感情」だなんて、嘘でもそんな理由はあんまりだ。
小鳥はもう諦めた。
「わ、私が、頼んだんです!カロンさんに…!」
「………吸血を?」
「それは対価と言いますか……実は、その……」