EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「ふむ。なら、静理が好きそうな服にしてみるのはどうだろう。メイド服なんてどうかな?」
「メイド服…?静理さん、好きなんですか?」
「以前ちょっと意見を聞いた時にメイド服に対する反応が一番良くてね」
ビックリである。
小鳥がキョトンとする横で、カロンはというと。
「なんか納得。静理なら好きそう。メイド服は俺も好き」
驚くどころか、すんなりと兄の好みを受け入れていた。
「メイド服にすれば?それ着て、ご主人様とメイドさんごっことか楽しそう」
「し、しません…!しません、けど……」
提案された遊びを全力で遠慮しつつ、小鳥は小声で理王に言った。
「その……作っていただけるなら、メイド服が、いいです」
どうせなら静理の好みの服を着たい。
それがたとえ、普段着ないメイド服であろうとも。
小鳥の答えを聞いて理王は笑みを深めた。
「では決まりだね」
それから、体のサイズを測りたいと言われて小鳥だけ別室へ。
理王は女性スタッフを呼んで彼女に小鳥のことを任せた。
「あんた、何考えてんの?」
二人きりになった応接室にて、カロンが理王に上から鋭い眼差しを投げ掛ける。
「手紙なんか送ってきてさ」
理王は睨まれても落ち着き払った様子で、ゆったりと口を開いた。
「特に何も。……ああ、私が彼女を傷つけないか心配でついて来たのかな?安心したまえ。小鳥さんに感謝はすれど、危害を加える気は少しもないからね」
「感謝?何かしてもらったのか?」
「珍しく、静理が執着していたんだ。他人にね」
「それだけ?」
「それだけで十分だよ」
目の前に静理がいるかのように、彼は柔らかく微笑んだ。