EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
こちらに向かって歩いてくる。
これからどこかに行くようだ。
「おー、静理じゃん」
カロンも気づいたらしく、近づいてきた静理に声をかけた。
「カロン……と、小鳥ちゃん?買い出しかい?」
「違うし。デート」
すかさず否定したカロンに「デート」だと聞かされ、静理の表情が硬くなる。
「……そう、かい」
「うらやましい?」
「別に」
「ふーん」
デートだなんて誤解です!と真っ赤になって主張しようとしていた小鳥だったが、静理の素っ気ない「別に」を耳にして何も言えなくなってしまった。
(うぅ……別にって……言われた……)
声には出さないけれど小鳥のダメージは大きい。
我儘になるだろうが、少しは気にして欲しかった。
複雑な心境の小鳥をチラリと見遣り、カロンが何か考える。
そして静理を試すようにカロンは行き先を暴露した。